当社を退職した従業員から、未払残業代の請求を受けました。法律上、どれくらいさかのぼって支払う必要があるでしょうか。
残業代を含む賃金請求権にも時効があります。
賃金請求権の消滅時効期間については、元々は2年間とされていましたが、法改正により、当分の間「3年間とする」と変更されました(労働基準法143条3項)。
消滅時効期間が3年間に変更されるのは、改正法の施行後(令和2年4月1日以降)に発生した賃金だけですので、令和2年4月1日よりも前に生じた賃金請求権は2年間の消滅時効期間にかかり、それ以降に生じた賃金請求権の場合は3年の消滅時効期間にかかります。
※なお、退職金の消滅時効期間は法改正の前後にかかわらず5年間です(法115条、同143条3項)。
ご相談の事案では、残業代の発生した時期に応じて、消滅時効期間が経過していないものについて支払義務を負いますが、消滅時効期間経過後は、時効を援用することにより支払いを免れることができます(民法145条)。
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労働関係に関するよくある質問一覧
- 当社を退職した従業員から、未払残業代の請求を受けました。法律上、どれくらいさかのぼって支払う必要があるでしょうか。
- 当社では、最近受注が極端に減少しており、当面の間、操業時間を短縮して従業員にも交代で休んでもらおうと考えております。 今回の受注減は取引先の経営難が原因で、当社には何の落ち度もありません。このような場合でも、従業員に休業手当を支払う必要があるのでしょうか。 また、各従業員の勤務時間を半分にするような短縮方法を取る場合は、どうでしょうか。
- 当社の従業員が就業時間外に自家用車であおり運転を行い、事故は発生していないものの、態様が悪質ということで、ドライブレコーダーの映像がワイドショーなどで報道されてしまいました。 幸い、その従業員の氏名や当社の名前までは報道されませんでしたが、ネット上の匿名掲示板では勤務先として当社の名前まで特定されているようです。 当社は運送業で、日ごろから交通事故の防止には細心の注意を払っており、就業規則上も、「飲酒運転その他の重大な交通違反」を懲戒解雇事由と定めています。また、「会社の名誉を著しく棄損したとき」またはこれらに準ずる行為も懲戒解雇事由とされています。 当該従業員を懲戒解雇することは可能でしょうか。
- (解雇)従業員を解雇する場合、どのような点に注意が必要ですか。
- (懲戒)従業員を懲戒処分とする場合、どのような点に留意すべきですか。
- (人事)当社の地方支店の規模を縮小して、そこの従業員の一部を大阪にある本社に異動させようと考えています。しかし、転居を伴う配置転換には反発も予想されます。このような人事異動を命じることは可能でしょうか。
- (労働時間)管理職には時間外手当を支払わなくてもよいですか。
- (労働時間)制服を着脱する時間は労働時間にあたりますか。また、実作業に従事しない仮眠時間は労働時間にあたりますか。
- (給与・賃金)従業員が不注意で会社の現金10万円を紛失しました。当該従業員はすぐに返済できないということで、今後の賃金から10万円を分割して差し引いて回収したいと思うが問題ないでしょうか。
- (給与・賃金)従業員の給与が差し押さえられた場合、どうすればよいですか。