法律Q&A

FAQ

当社では、広報の一環として、従業員が勤務している姿を撮影し、自社のホームページに掲載しようと思っています。この場合に気を付けることはありますか。

(1)まず従業員の写真を撮影することの適否を検討する必要があります。
 裁判例上は、「人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する」とされ、撮影行為が違法となるかどうかは、撮影対象の社会的地位や、撮影の場所、目的、態様、必要性などを総合的に考慮して、この人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかという観点で判断されています(最判平成17年11月10日民集59巻9号2428頁参照)。なお、この人格的利益は肖像権と呼ばれることもあります。
 本件では、対象が従業員とのことで、社内広報のために、業務遂行の様子を勤務時間中に撮影すること自体は、撮影対象、撮影の場所、目的、態様、必要性から、基本的には問題ないと考えられます。ただし、従業員のプライバシーの観点から撮影が想定されない業務である場合や、撮影されることを希望しない従業員については、別途配慮することが望ましいでしょう。

(2)問題は、撮影した写真を自社ホームページに掲載するという点です。
 ホームページでの写真掲載によって、社内・社外を問わず、誰にでも閲覧可能な状態に置かれることが想定される場合には、上記人格的利益の侵害の程度が大きいと考えられます。
撮影自体については異議がなかったとしても、その写真をホームページ等で公開することまで了承しているとは言えませんので、ホームページにその写真を載せることについては別途承諾を得ることが必要と考えられます。
 具体的には、掲載予定の写真について、写っている従業員に個別に掲載の諾否を確認したり、掲載に先立って社内ネットワーク等に掲載予定の写真を掲示し、掲載を希望しない旨の申出を受け付けるといった対応がありうるでしょう。
 また、ホームページでの写真掲載を頻繁に行う予定がある場合には、予め、広報目的での撮影を行うこと、撮影した写真をホームページで公開する場合があることについて、包括的に承諾する内容の書面を従業員から取っておく方法も考えられますが、この承諾書は撮影の範囲や利用目的と合致したものである必要がありますので、注意が必要です。
 実際の撮影や掲載の可否について確認したい場合や、承諾書の作成をご検討の際には、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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ネットトラブル
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写真,ネット,ホームページ,広報

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