最新の組織犯罪情勢 ― 深刻な特殊詐欺被害
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警察庁は令和8年7月30日、同年上半期(1月~6月)の犯罪情勢を発表しました。本ブログでは、最も被害が大きい組織犯罪として、特殊詐欺について取り上げます(特殊詐欺には、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、ニセ警察詐欺など多様なものを含みます)。
特殊詐欺の令和8年上半期の被害額は、6か月で1816億円であり、昨年上半期から実に51.7%増です。1日10億円の被害であり、極めて深刻な状況にあります。
特殊詐欺の中心には、暴力団、及び、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)がいると考えられます。東京の暴力団住吉会と福岡の暴力団道仁会の組員が共謀して、組織的に特殊詐欺を行なった事件で、令和8年8月、警視庁と福岡県警がそれぞれの暴力団事務所を捜索しています。この事件では暴力団道仁会の組員がリクルートした中学生が、犯罪の一員として使われていました。別の特殊詐欺事件では、被害者らが道仁会組長に対して令和7年5月に損害賠償を求める民事裁判を提起していますが、この特殊詐欺事件のリーダーは道仁会組員であり、受け子などのメンバーは17歳から20歳の若者でした。特殊詐欺ではインスタグラム、ユーチューブ、XなどのSNSを使って、「高額バイト」と謳って犯罪のメンバーをリクルートします。リクルートされるのは10代、20代が多数です。応募してきた者に対しては、身分確認のためと言って運転免許証などを出させ、これを脅しの材料にした上で犯罪に加担させるのです。
警察庁は令和7年10月、全国警察の司令塔組織となる「匿流情報分析室」を発足させました。特殊詐欺の被害をなくし、組織犯罪の中心にある暴力団及び匿名・流動型犯罪グループを壊滅させるため期待を持つことができます。一旦生じてしまった特殊詐欺の被害回復は容易ではありませんが、一つの方法として上述した暴力団組長への民事裁判があり、全国で多数提起されています。特殊詐欺の被害撲滅のため、官民一体となった対策、刑事と民事両面での対策を、一層推進したいと考えます。
2026年8月25日
弁護士 米倉 正実