二次不祥事に気をつけましょう
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弁護士 公認不正検査士
細田祥子
近年の多くの事例を見ていると、当初の不祥事のみならず、その後の企業の対応が、結果として企業や関係者をより深く傷つけてしまっているケースが少なくありません。
このような「不祥事の後の不適切な対応」は、「二次不祥事」、「二次クライシス」などと呼ばれることがあります。
二次不祥事とは何か
この「不祥事後の不適切な対応」である「二次不祥事」について、現時点では必ずしも統一された定義があるわけではありません。
私は、二次不祥事を次のように捉えています。
:企業で不祥事(一次不祥事)が発生した後、経営層がそれを認識した、あるいは通常であれば認識できたはずの段階以降に行われた対応のうち、新たな不祥事と評価すべき不適切な対応
例えば、不祥事が起きているにもかかわらず調査を行わない、問題を過小評価して対応を先送りする、被害に関する情報が寄せられているのに真摯に向き合わない、再発防止策が形だけで実効性を欠く――。これらはすべて、一次不祥事とは別の「二次不祥事」となり得るものです。
近年報道された小林製薬や宝塚歌劇団などの事例でも、当初の問題に加え、その後の対応の遅れや不十分さが、被害の拡大や社会からの強い批判を招きました。まさに二次不祥事の典型例といえるでしょう。
なぜ二次不祥事は深刻なのか
二次不祥事が深刻なのは、被害者をさらに傷つけ、新たな被害者を生む可能性があるからです。また、社会からは「隠蔽」「責任逃れ」「反省していない」と受け取られやすく、企業への信頼を決定的に損ないます。
特に重要なのは、二次不祥事を引き起こす主体が、一次不祥事に対応すべき経営層や担当者であるという点です。本来、問題を是正する役割を担う立場の人が、結果として次の不祥事を生んでしまう――この構造を理解しなければ、同じ過ちが繰り返されてしまいます。
二次不祥事は「防げる不祥事」
一次不祥事は企業活動に携わる人々の誰もが当事者となり得るうえ、発生の態様も多様であり、事前に予測して十分な対策を講じることは容易ではありません。
これに対し、二次不祥事は必ず一次不祥事の後に発生し、その当事者も主に経営層など一次不祥事に比べ相当程度限定されます。
二次不祥事対策の必要性と、予防可能性について示したものが下記の図です。

(筆者作成)
そのため、不祥事対応に関わる可能性のある人々を対象に研修を行うなどして、一次不祥事に関するアンテナを高く保ち、問題を適切に把握できる体制を整えることが重要です。そして、一次不祥事を把握した時点で強い緊張感を持ち、迅速かつ適切な対応を行えば、二次不祥事は防げる可能性が高いといえます。
不祥事対応に関わる方には、「自分の判断や対応が、新たな不祥事になり得る」という意識を常に持っていただきたいと思います。
「二次不祥事」という言葉が広く共有されることで、不適切な対応が可視化され、抑止につながることを願っています。
当事務所では、不祥事対応についての業務も数多く行っておりますので、気になる点がありましたら遠慮なくお声がけ下さい。
以上