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暴力団対策について(1)

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1 警察庁「令和5年における組織犯罪の情勢」

令和6年3月、警察庁は「令和5年における組織犯罪の情勢」を公表しました。
組織犯罪のうちの大きな部分は、暴力団です。暴力団に対する対策は、今後も日本の重要課題です。このブログでは、5回の連載で暴力団対策について説明します。

2 暴力団構成員等の人数

暴力団構成員等の人数がもっとも多かったのは昭和38年で、このとき約18万人いたと言われています。令和5年の人数は約2万人で、約10分の1です。以前とくらべて、暴力団対策は大きく進歩しました。
とはいえ、暴力団構成員等は、今でも統計上、約2万人も存在します。統計以外に相当の暗数があることを考えると、暴力団とその周辺者の数は、統計の数倍にのぼると思います。
暴力団とその周辺者が存在するということは、社会の中で、これらの者による暴力や詐欺などの被害者が生じていることを意味します。このため、社会全体から、暗数をふくめて、暴力団とその周辺者を減らす努力を続けていく必要があります。

3 主要な暴力団、暴力団対策の目的

現在の主要な暴力団は、関西では六代目山口組・神戸山口組・絆會(きずなかい)、岡山では池田組、関東では住吉会・稲川会の六団体です。これらの暴力団は互いに暴力的な争いをしたり、逆に友好関係を築いたりしています。
暴力的な争いをすることも友好関係を築くことも、市民・企業に対して、自分たち暴力団の暴力・威力のイメージを発信する行動です。暴力・威力のイメージは、市民・企業の自由で透明な活動を抑圧するものです。
上記のほか、北九州には工藤会という暴力団があります。工藤会は平成26年にトップが逮捕されていますが、逮捕以前は市民・企業に多数の危害を加え極めて大きい暴力・威力のイメージで地域を支配していました。このような中で、市民・企業は、自由で透明な活動をすることはできません。
暴力団対策の目的は、市民・企業の自由で透明な活動をまもることです。今後も、暴力団対策に真剣に取り組む必要があります。
次回は、暴力団による違法行為の類型について、説明します。

2024年7月22日 
弁護士 米倉 正実