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闇バイトの危険性

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1 特殊詐欺の被害状況

特殊詐欺による被害は日々報道されていますが、令和5年度の特殊詐欺の認知件数は1万9038件、被害額は452.6億円で、被害額は令和4年度の370.8億円から81.1億円も増加しています(※1)。警察庁は、令和6年3月28日、特殊詐欺対策で約500人増員することを公表するなど、特殊詐欺の取り締まりを強化しています。
特殊詐欺で検挙された暴力団構成員は総検挙人員の17.9%を占めており、検挙された特殊詐欺の中枢的被疑者のうち、53.1%が暴力団成員であったことから、暴力団は特殊詐欺により多額の活動資金を得ていると考えられます。そのため、特殊詐欺対策は、暴力団排除の観点からも重要といえます。

2 特殊詐欺の実行犯について

特殊詐欺においては、自宅等に現金やキャッシュカードを取りに行く「受け子」、被害者から騙し取ったキャッシュカードを用いてATMから現金を引き出す「出し子」などの実行犯がいますが、これらの実行犯はSNSにおいて、「高額バイト」「簡単に稼げる」「日給10万円」などの文言を用いて募集している、いわゆる闇バイトに応募した者によって行われることも少なくありません。
特殊詐欺の主導的な立場にある者からすれば、実行犯は捨て駒にすぎません。受け子や出し子などは主導的立場にある者よりも検挙されやすく、逮捕されれば初犯でも実刑判決が下されることも少なくありません。また犯行を行っても報酬が支払われることがない場合もあり、仮に犯罪による報酬を得ても、被害者に報酬額以上の損害賠償義務を負うことになります。闇バイトに応募する際に犯罪グループから求められるがまま、自身や親族の個人情報を送り、その後犯行をしたくないと思っても、自宅に犯罪グループが訪問したり、自身や親族に対して危害を加えるなどの脅迫を受け、実行犯をせざるを得なくなったというケースもあります。

3 特殊詐欺の加害者とならないために

上記の通り、SNSなどで募集している闇バイトは、暴力団構成員等の犯罪の主導的立場の者から利用されるにすぎず、極めて大きな不利益を負うこととなるので、決して応募しないでください。また、万が一応募をして個人情報を送ってしまい脅迫を受けているなどの場合には速やかに警察に相談をしてください。

2024年6月26日 
弁護士 志智 哲