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全国初「カスハラ」防止条例制定へ(東京都)②

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先日、小谷弁護士のブログにおいて、東京都において「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止をうたった条例制定に向けて準備が進められていることについてご紹介しました(※1)。本条例について、4月22日の報道(※2)で続報がありましたので、ご紹介します。

報道によりますと、同日、都庁で専門家などが参加して対策などの議論を行う部会が開かれ、カスハラの定義について「就業者に対する暴行、脅迫などの違法な行為、または暴言や正当な理由がない過度な要求など不当な行為で就業環境を害するもの」と定義づけることが提案されたようです。

以前、別のブログでも紹介しましたが、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアル(※3)では、カスハラとは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」とされています。

双方の定義にさほど大きな違いは無いと思いますが、本条例による定義の方が、暴行、脅迫、暴言などを例示している分、一般の方々にとって少しわかりやすくなっているかな、という印象です。仮に、本条例が制定されれば、法律や条例において初めて定義づけされたということになりますから、本条令の定義づけの方がスタンダードになっていくかもしれません。

また、報道によると、条例の実効性を確保するために新たに設けるガイドラインに具体的な行為を例示することも提案されているようで、案として、3000円で購入した子どもの誕生日ケーキの名前が間違っていた場合として、1億円を要求することはカスハラに該当する一方、丁寧な口調で3000円の返金を要求することは該当しない可能性があるとしているようです。少しでもカスハラを分かりやすく説明することで、カスハラをより社会に浸透させ、被害を抑止し、対策をしやすくしようという狙いがあるのではないかと思います。

こうした取組により、1人1人の消費者の意識が変わり、カスハラのない世の中に近付くと良いですね。

2024年4月25日 
弁護士 鶴田 昌平