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令和5年4月からの育児介護休業法の改正について

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1.育児介護休業法の改正について

昨年2月、弊所で「育児介護休業法の改正」に関するセミナーを行いました。今回の育児介護休業法の改正は、令和4年4月、10月、令和5年4月と3段階にわたる改正であったため、セミナーでは施行が近い令和4年4月と10月の改正を中心に説明しました。令和4年10月からは、全ての会社で「出生時育児休業制度(パパ育休)」や「育児休業の分割取得」等の制度を置く必要があり、就業規則の変更や新たな書式の作成に追われた企業も多かったと思います。
今回は、2ヶ月後に施行される改正内容について説明したいと思います。

2.令和5年4月に施行される改正の概要について

令和5年4月1日から、常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対しては、育児休業の取得の状況について公表することが義務付けられます。年1回、「育児休業をした男性労働者の数(+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)/配偶者が出産した男性労働者の数」を計算し、インターネットや日刊紙・県の広報誌等、一般の人が閲覧できる方法でする必要があります(インターネット等の利用が不可能な場合には、事業所に備え付け、求めに応じて一般の人が知りうる状況にすることでも差し支えないとされています)。
厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」では、育児休業の取得率だけではなく、自社での取り組みや、実際に育児休業を取得した従業員の声などを公表することができ,現時点で10万を超える企業が登録しています。
企業においては、情報の集約方法や公表方法を予め決めておく必要があるでしょう。

3.育児をしながら働きやすい会社へ

「異次元の少子化対策」という言葉も話題になりましたが、企業においても、従業員が出産や育児をしやすい制度が整備されていること、実際にその制度が活用されていることが求められていると思います。法律の基準を守ることだけでなく、企業が積極的に労働者を支援していくことが必要です。今回、育児休業の取得率の公表が義務付けられているのは、常時雇用する労働者数が1000人を超える企業だけですが、育児休業取得率等を公表する会社が増えれば、労働者が会社を選ぶ際の、重要な基準の一つとなります。1000人以下の企業であっても育児休業の取得率を把握することや、育児休業を取得した従業員・取得したい従業員の意見を聴くことは意義があり、企業の価値を高めることにもつながると思います。

2023年2月6日
弁護士 角谷茉美