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裁判をすると相手に住所や名前が知られてしまう?~秘匿制度の創設について~

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昨今、裁判のIT化のために民事訴訟法の改正が進んでいますが、Web会議やオンラインでの書面の提出といった制度と同時に、当事者の氏名や住所等の秘匿制度が併せて創設されています。

民事訴訟法上、裁判を起こす際に提出する訴状には、①当事者及び法定代理人、②請求の趣旨及び原因を記載しなければならない(民事訴訟法134条2項)とされています。改正前の民事訴訟法では、犯罪の被害者等が訴訟を提起する場合でも、当事者及び法定代理人の名前を書かなければならず、一定程度裁判所の運用で対応されているに留まっており、氏名や住所を秘匿して訴訟を提起することについて、法律的な制度はありませんでした。

そこで、令和5年2月に施行された民事訴訟法の改正によって、当事者の住所、氏名等の秘匿制度が創設されました。

具体的には、「申立等をする者又はその法定代理人の住所、居所その他通常所在する場所の全部又は一部が当事者に知られることによって当該申立て等をする者又は当該法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることにつき疎明があった場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、住所等の全部又は一部を秘匿する旨の裁判をすることができる。その他申立て等をする者又はその法定代理人の氏名その他当該者を特定するに足りる事項についても、同様とする。」と規定されています(民事訴訟法133条1項)。
 「社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれ」について、法務省が出している例では、DVの加害者と被害者(この場合は住所の秘匿)、性被害者とその被害者の氏名をもともと知らない加害者間の訴訟等が挙げられており、児童虐待やストーカー、反社会的勢力が問題となる訴訟などでも、秘匿決定が認められることがあるとされています。

そして、秘匿決定が出た場合には、秘匿決定の対象となっている秘匿事項に加え、秘匿事項を推知させる事項(子が通う学校名、受診した近隣の医療機関、親族の氏)も閲覧を制限されます。
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