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日本弁護士連合会の人権擁護大会

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全国の弁護士が加入している団体として日本弁護士連合会(日弁連)という団体があります。日弁連の大きな活動の一つとして、毎年1回、人権擁護大会という会議を開催しています。

今年の人権擁護大会は北海道旭川市で行われました。その中で、日本におけるアイヌ民族に対する極めて長期間にわたる差別の問題を改善しその人権擁護を求める決議が採択されました。決議に至る議論の中で、現在ロシアがウクライナを侵略しているように少数民族保護を理由にした外国による侵略行為の口実になる危険があるのではないかとの反対意見が出されました。これに対して、アイヌの女性に対する差別に関し裁判を行ったことがある弁護士が反論を述べられました。人権の問題に対して直ちに政治の議論をもって反対することへの強い異議でした。

反対意見が政治の議論としてどのくらいの妥当性を有しているのかは様々な評価がありうるところであり、また最終的に政治の議論が優先することもあり得るかもしれませんが、人権の問題においてはまずは政治の議論よりその人権問題を十分に受け止めることを先にしなければならない、ということだと受け止めました。他の参加者の受け止め自体も様々であったと思いますが、人権について強い印象を残した発言でした。

令和4年12月22日
 米倉正実