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消費者契約の授業に行ってきました

2022/10/26

1.少年院での授業

先日、少年院での「社会科」の一環として、「契約と消費生活」の授業を行ってきました。消費者契約といった場面では、少年が被害者となることも多いためです。授業の内容としては、「契約」とはどういうものであるのか、「約束」とはどう違うのか、契約において「消費者」というのはどういう立場にあるのか等を、オンラインゲームの課金やコンビニでの売買契約を例にして説明しました。
 授業では、少年たちの名前や背景を知らされることはありませんが、皆真剣な顔で聞いていました。「契約がいつ成立するのか」という問いには「それの答えって一つなの?」と聞かれたり、「契約と約束って違う?同じ?」という問題には、「同じと違うって片方しか選んじゃいけないの?」といった質問もあり、彼らなりに真剣に考えてくれているのだと感じました。また、これは無効です、取り消すことが出来ますという説明をした後に、「じゃあ、どうすればいいの?」と聞かれて、そこをきちんと説明しなければならないんだと、私自身が学ぶことも多かったです。

2.オンラインでの契約について

授業の内容は大人にとっても大事な内容だと思います。
例えば、授業の中で、オンラインゲームで無料ゲームだと思ってクリックしたところ有料会員になってしまったという例をあげて、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」(以下、「電子消費者契約法」といいます。)の説明をしました。
電子消費者契約法では、オンラインでの契約の場合、消費者が申込みを行う前に、消費者の申し込み内容などを確認する措置を事業者が講じていない場合、消費者側にうっかりミスがあったとしても、契約を取り消すことができます。なお、民法でも錯誤(表示の内容と内心の意思が合致しないこと)があった場合には、契約を取り消すことが出来ますが、意思表示をした者に重大な過失がある場合には取り消すことが出来ないとされています(民法93条1項2項3項)。そのため、クリックミスや読み間違いで、契約が成立したという画面が出て来たとしても、必ずしも言われるままに代金や料金を支払う必要はありません。そもそも今回の場合には、事業者が無料ゲームだと表示していれば、契約が成立していないと言える場合もあります。

3.相談の重要性

しかし、大人でもクリックをして「契約が完了しました。」「代金○○円を支払ってください。お支払いがない場合には法的手続きを取る場合があります。」という画面が出てくれば、驚いて支払ってしまうかもしれません(オンラインストアのサイトを見ている際に、間違えてクリックして「この商品を購入しました」という画面が出てきてヒヤッとしたことは私自身もあります。)。
実際には、契約が成立したといえるか、取り消すことが出来るのかはケースバイケースで、法律の内容をきちんと理解することは難しいかもしれません。ただ、少なくとも、疑問をもつこと、弁護士に相談したほうがよいのではないかと気づくことはとても大事なことです。トラブルが生じてからネットで検索することもできますが、咄嗟のときに冷静に判断するためには、あらかじめ知っているということは大きな違いになると思います。
授業の最後でも「おかしいなと思ったら周りの人や弁護士に相談しよう」と言うことを伝えました。授業では、少し難しいかなと思う内容も話しましたが、全部が分からなくても、これから先、トラブルに直面したときに、なんかちょっとおかしいなと思うきっかけになってくれればと思います。

2022年10月24日
 弁護士 角谷茉美